喉のつまり感と息苦しさに悩んでいた40代女性。ヒステリー球の症状が気にならなくなるまでの施術経過
来院までの経緯
今回ご紹介するのは、喉のつまり感や息苦しさ、首や肩、背中、腰の痛みに悩まれていた40代女性の症例です。
症状のきっかけとなった時期は、2022年9月頃でした。
新型コロナウイルスに感染した後から、肩の痛みや手のしびれを感じるようになったそうです。
翌2023年3月からは整体にも通われましたが、症状はかえって強くなってしまったとのことでした。
さらに同年5月にはパニック発作を起こし、救急車で病院へ搬送されました。
その後、10日間入院して検査を受けたものの、特に大きな異常は見つからず、医師からはストレスでは?と話があったそうです。
退院後、身体の痛みには少しずつ改善傾向が見られましたが、息苦しさや喉のつまり感は変わらず続いていました。
肩の痛みも日常的に感じており、入浴後にストレッチをするなど、ご自身でも工夫されていましたが、なかなか変化を感じられなかったといいます。
来院時のお悩み
特につらかったのは、息苦しさと、喉に何かがつまっているような感覚でした。
喉のつまり感は、一般に「ヒステリー球」や「咽喉頭異常感症」と呼ばれる症状として知られています。
ただし、喉の違和感や息苦しさにはさまざまな原因があり、似た症状がすべてヒステリー球に該当するわけではありません。
今回の方も、医療機関で検査を受けておられましたが、症状はその後も続いていました。本人はコロナ後遺症ではないかと悩んだこともあったそうです。
さらに、ご本人を悩ませていたのは、周囲の方に症状を理解してもらうことの難しさでした。
つらさを相談できる人がおらず、ご家族に話しても、
「気のせいだろう」
と言われることがあったそうです。
検査で大きな異常が見つからなかったとしても、息苦しさや喉のつまりを感じているご本人にとって、そのつらさがなくなるわけではありません。
身体の痛みとともに、なかなか理解してもらえない症状を抱えながら過ごされていたことも、来院時にお聞きした大切なお話でした。
施術の経過
1回目の施術
初回は、喉や首の状態だけでなく、頭蓋から骨盤、下肢にかけて身体全体を確認しました。
オステオパシーでは、症状のある場所だけを施術するのではなく、その方の身体が今どのような状態にあるのかを、触診を通して丁寧に確かめていきます。
この日は、左側の骨盤、頭蓋領域、両側の坐骨神経の周囲、右脛骨などに対して施術を行いました。
喉のつまり感が主な症状であっても、実際の施術では喉から離れた場所に触れることがあります。
その日の身体の状態を確認しながら、できるだけ負担の少ない方法で施術を進めました。
次回は1週間後に来院していただくことになりました。
2回目の施術(1週間後)
1週間後に来院された際には、
「この1週間は、そんなに悪くなかったです」
とお話しくださいました。
この日は、頭蓋や仙骨、喉の周囲、胸郭などを中心に施術を行いました。
施術後には、喉のつまり感がご本人の感覚で8割ほど軽減し、首の動きにも良い変化が見られました。
長く続いていた喉の症状に、比較的早い段階から変化が現れ始めていました。
ただし、症状が完全になくなったわけではないため、引き続き身体の状態を確認していくことにしました。
3回目の施術(1週間後)
3回目の来院時には、この1週間について、
「そこまでひどくならずに過ごせました。今日もそんなにひどくないです」
とお話しされていました。
症状に多少の波はあるものの、ご本人も少しずつ良くなっていることを感じておられました。
この日は、頭蓋、脾臓の周囲、左股関節などに対して施術を行いました。
大きな変化が見られた後も、その日の身体の状態を確認しながら、無理のない施術を続けました。
次回は10日後の来院となりました。
4回目の施術(10日後)
4回目の来院時には、全体として大きく悪い状態ではありませんでしたが、その日の午後から頭痛が現れていました。
また、数日前からは喉のつまり感も少し気になるようになっていたとのことでした。
症状は一直線に軽減していくわけではなく、良い日もあれば、再び気になる日もあります。
この日は、頭蓋、胸郭、骨盤を中心に、身体全体の状態を確認しました。
施術では、特定の部位を無理に変えようとするのではなく、身体全体が落ち着き、バランスの取れた状態へ向かうことを意識しながら、穏やかに触れていきました。
施術後には頭痛も喉のつまりも楽になっています。
次回も10日後に来院していただくことになりました。
5回目の施術(10日後)
5回目の来院時には、喉の症状について、これまでとは少し違うお話がありました。
喉のつまり感が現れることはまだあり、前日にも症状を感じていたそうです。
しかし、以前のように一日中その感覚に意識が向いているわけではなく、気づけば喉のことを忘れて過ごしている時間が増えていました。
また、首から腰にかけての痛みも、以前ほど気にならなくなってきたとのことでした。
この頃には、症状の強さだけでなく、日常生活の中で症状を意識する時間にも変化が現れていました。
次回は2週間後に来院していただくことになりました。
6回目の施術(2週間後)
6回目の来院時も、全体として大きく悪い状態ではありませんでした。
喉のつまり感を忘れて過ごしている時間が増えており、日常生活の中で以前ほど症状にとらわれなくなっていました。
一方で、休日など、家でゆっくり過ごしているときには、喉の違和感が気になることもあるそうです。
症状が完全になくなったわけではありませんが、日々の過ごし方は少しずつ変わってきていました。
その後の経過
6回目以降も、身体の状態やご本人の感じ方を確認しながら、施術を続けました。
当初はおおむね2週間に一度のペースで約2か月間、その後は3〜4週間に一度、さらに4週間に一度と、状態に合わせて少しずつ来院間隔を空けていきました。
この間、家で何もせずに過ごしているときなどに、喉のつまり感を感じることはありました。
しかし、それ以外の時間にはほとんど気にならず、喉のことを忘れて過ごせるようになっていました。
首や肩、背中、腰などの痛みについても、以前ほど気にならない状態が続いていました。
また、施術後には毎回、喉のつまり感や身体の痛みが楽になったと感じておられました。
初回来院から約8か月が経過した頃には、喉の違和感が多少あっても日常生活ではほとんど気にならず、身体の痛みも大きな負担ではなくなっていました。
ご本人の状態を確認したうえで、いったん定期的な施術を終了することになりました。
喉のつまりを忘れて過ごせるようになるまで
今回の症例で、特に大切な変化だったと感じるのは、喉のつまり感そのものだけではありません。
初回来院時には、息苦しさや喉の違和感が続き、身体の痛みも重なって、日常生活の中で大きな負担を感じておられました。
2回目の施術後には喉のつまり感が大きく軽減しましたが、その後も症状が気になる日がありました。
それでも、施術を重ねる中で、喉のことを意識せずに過ごせる時間が少しずつ増えていきました。
やがて、家で静かに過ごしているときに違和感を感じることはあっても、普段はほとんど気にならない状態になっていきました。
喉のつまりを常に気にしていた毎日から、そのことを忘れて過ごせる日常へ。
今回の方にとっては、この変化が特に大きな意味を持っていたのではないかと思います。
院長より
今回の症例で、私が強く心に残っているのは、喉のつまり感や息苦しさだけでなく、そのつらさを周囲の方になかなか理解してもらえなかったというお話です。
検査を受けても大きな異常が見つからず、身近な人に相談しても「気のせいだろう」と言われてしまう。
そのような状況では、身体の不調に加えて、誰にもわかってもらえないというつらさもあったのではないかと思います。
私は、検査で異常が見つからなかったということと、ご本人が感じている症状のつらさは、分けて考える必要があると思っています。
だからこそ、最初にお話を丁寧に伺うことを大切にしています。
今回の施術では、喉や首だけでなく、頭蓋、胸郭、骨盤、下肢など、身体のさまざまな場所に触れていきました。
オステオパシーでは、症状のある場所だけを追いかけるのではなく、身体の状態に静かに耳を傾けながら、その方に必要と感じられるところに施術を進めていきます。
今回の方は、比較的早い段階から喉のつまり感に変化が見られましたが、その後も調子の良い日と、少し症状が気になる日がありました。
そのような経過の中で、私が大切にしたのは、症状を一度の施術で何とかしようとすることよりも、そのときの身体の状態を確認しながら、無理なく施術を重ねていくことでした。
そして、施術を続けるうちに、ご本人から「喉のことを忘れている時間が増えた」というお話を聞けるようになりました。
私にとって、何よりもうれしい言葉でした。
身体のどこかに不調があると、どうしてもそこに意識が向いてしまうことがあります。
けれども、そのことを気にせず、目の前の生活に自然と意識を向けられる時間が増えていく。
それもまた、身体が楽になっていく過程で見られる大切な変化の一つなのだと思います。
喉のつまり感や息苦しさのように、周囲からはわかりにくい症状だからこそ、ご本人の感じていることを大切にしながら、丁寧に向き合っていきたいと思います。
喉のつまり感(ヒステリー球)の原因や、当院でのオステオパシー施術については、こちらのページでも詳しくご紹介しています。
※本記事は、当院で施術を受けられた方の経過をご紹介するものです。症状や施術後の変化には個人差があり、同様の結果が得られることを保証するものではありません。喉のつまり感や息苦しさにはさまざまな原因があり、医療機関での検査や治療が必要な場合があります。オステオパシーは、必要な医療を代替するものではありません。